請求システムの商品マスタ、商品名と単価だけで十分ですか?

請求システム

基本料金、初期費用、追加オプション。同じサービスに複数の料金があるとき、請求システムには何を登録すればよいのでしょうか。

新しい請求システムに商品を登録しようとしたとき、最初に迷ったことがありました。

一つのサービスなのに、基本料金、初期費用、追加オプションなど、請求する料金がいくつもあるのです。

これらを一つの商品として登録するのか、それとも別々に登録するのか。

現在、副業先で請求システムの導入を進めています。前回の記事では、請求業務をシステム化するには、顧客・商品・契約・請求という情報をつなげる必要があると書きました。

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今回は、その中の「商品」について考えてみます。商品マスタと聞くと、商品名と単価を登録するだけのように思えます。しかし、実際の請求を考え始めると、それだけでは整理できない部分が出てきます。

1. 一つの商品なのに、請求する料金が4種類ある

例えば、企業向けのクラウドサービスを販売する会社を考えてみます。

料金体系は次のとおりです。

料金項目金額
基本利用料金月額30,000円
追加アカウント月額3,000円/件
初期設定費用50,000円
オプション料金月額10,000円

※金額は説明用の仮定です。

営業担当者から見れば、販売しているのは一つのクラウドサービスです。しかし、経理担当者から見ると、請求する料金は4種類あります。

最初に商品マスタを登録するとき、基本料金だけを登録すればよいのか、追加アカウントや初期費用もそれぞれ登録するのか、判断する必要があります。

商品名も単価も決まっています。それなのに、登録方法をすぐには決められません。

2. 金額は決まっている。それでも請求方法が違う

先ほどの4種類の料金を、もう少し詳しく見てみます。

基本利用料金は毎月30,000円ですが、初期設定費用50,000円は通常、導入時の一度だけです。

追加アカウントは1件3,000円なので、10件なら30,000円、15件なら45,000円になります。オプション料金は、契約した顧客にだけ発生します。

さらに、利用回数や処理件数に応じて請求するサービスなら、毎月の利用実績も必要です。

つまり、同じ商品に関する料金でも、計算方法は異なります。

  • 固定料金:毎月一定額を請求する
  • 数量連動料金:単価に契約数量を掛ける
  • 従量料金:単価に利用実績を掛ける
  • 一時料金:指定したタイミングで一度だけ請求する

商品名と単価だけでは、いつ、どのように請求金額を計算するのか分かりません。

人が請求書を作成しているときは、こうした違いを経験や契約書の確認で補っていることがあります。

しかし、システムに計算を任せるなら、そのルールを整理しなければなりません。

では、計算方法の異なる料金を、商品マスタでどのように扱えばよいのでしょうか。

3. 商品を分けるのではなく、料金項目を分けてみる

ここで考えたいのが、販売している商品と、その商品を構成する料金項目を分ける方法です。

先ほどの例なら、次のようになります。

商品:クラウドサービス

  • 基本利用料金
  • 追加アカウント料金
  • 初期設定費用
  • オプション利用料金

販売しているサービスは一つでも、その中に複数の料金項目があるという整理です。

請求システムによっては、商品を大きな分類と個別の料金項目という階層で管理できます。

一方、料金項目をそれぞれ独立した商品として登録する仕組みもあります。

どちらが正しいということではありません。大切なのは、自社の商品と請求する料金の関係を明確にすることです。

この整理ができると、新しいオプションを追加した場合にも、既存の基本料金と区別して考えられます。

ただし、ここで商品と料金項目を整理できても、請求金額がすべて決まるわけではありません。

同じ商品でも、顧客によって販売価格が違うことがあるからです。

4. 同じ商品なのに、A社とB社の請求金額が違う

例えば、月額30,000円のサービスを、A社には標準価格で販売し、B社には特別価格25,000円で販売しているとします。

この場合、A社用とB社用の商品を別々に登録する必要があるのでしょうか。

顧客ごとに商品を増やしていくと、似た商品が大量に登録される可能性があります。料金が変わるたびに新しい商品を作るようでは、管理も複雑になってしまいます。

そこで考えたいのが、商品情報と契約情報の区別です。

例えば、商品マスタには標準価格30,000円を登録し、B社との契約情報には特別価格25,000円を登録します。

商品マスタでは「何を販売するか」を管理し、契約情報では「その顧客にどんな条件で販売するか」を管理する考え方です。

もちろん、実際にどこで価格を管理するかはシステムによって異なります。

ただ、商品と契約を分けて考えると、なぜ顧客ごとの商品登録を増やさずに済む場合があるのか、理解しやすくなります。

前回の記事で触れた、商品と契約をつなげるという考え方も、ここに関係しています。

5. 月額30,000円を35,000円に変更したら、何が起こる?

もう一つ、商品マスタを設計するときに考えておきたいのが料金改定です。

例えば、月額30,000円の商品を35,000円に値上げするとします。ただし、既存顧客には当面30,000円を適用し、新規顧客だけ35,000円にすることになりました。

この場合、商品マスタの単価を35,000円に変更するだけでよいのでしょうか。

システムの仕組みによっては、マスタの変更が既存契約にも影響する可能性があります。

反対に、契約時点の単価を保持する仕組みなら、既存契約に旧料金を残せる場合もあります。

ここで確認したいのは、価格を変更できるかどうかだけではありません。

いつから新料金を適用するのか、既存契約はどう扱うのか、過去の料金を確認できるのか。

こうした情報が管理できなければ、料金改定のたびに手作業で確認することになりかねません。

商品マスタは、最初に登録できれば終わりではないのです。商品追加や料金改定が発生した後の運用も考えておく必要があります。

6. システムに登録する前に、まず一覧にしてみる

ここまで考えると、商品マスタを登録する前に、現在の商品を整理しておくことが大切だと分かります。

例えば、次のような一覧を作ってみます。

確認項目登録例
商品名クラウドサービス
料金項目基本利用料金
標準単価30,000円
課金方法月額固定
課金単位月
顧客別条件契約情報で管理
販売状況販売中

商品名と単価だけでなく、料金の種類や計算方法まで整理してみるのです。

そのうえで、似た商品が重複していないか、販売を終了した商品が残っていないか、顧客ごとの契約条件が商品マスタに混在していないかを確認します。

最初からすべての商品を整理する必要はありません。まずは請求件数の多い商品を一つ選び、請求書に記載している料金項目を洗い出すところから始めてもよいと思います。

商品と料金項目の関係が見えてくれば、システムに何を登録するべきかも判断しやすくなります。

まとめ:商品マスタは、単なる商品一覧ではなかった

商品名と単価が分かっていれば、商品マスタは簡単に作れる。最初は、そう考えていました。

しかし、一つのサービスに複数の料金があり、顧客によって単価が違い、さらに料金改定まで発生するとなると、話は変わってきます。

商品マスタは、商品を一覧にしたものというだけではありません。自社がどのような商品を、どのような料金体系で販売しているかを整理するための基礎情報でもあります。

まずは、自社の商品を一つ選んでみてください。その商品には、どのような料金項目があるでしょうか。

すべてを一度にシステム化しなくても、商品と料金項目を整理することが、請求業務の改善につながる第一歩になると思います。


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