請求先も金額も決まり、あとは請求書を発行するだけ。ところが、既存の請求書発行サービスと連携しようとすると、思ったほど単純ではないようです。
新しい請求システムで、決済方法を設定することになりました。
普段使っている銀行振込を選べば、設定は終わりそうです。
ところが、既存の請求書発行サービスとつなげようとすると、少し気になることが出てきます。
請求書を発行するサービスはすでに利用しています。新しいシステムでは、契約情報や請求金額を管理できれば十分なはずです。しかし、実際に設定を進めるには、両方のシステムをどう連携させるかも考えなくてはなりません。
現在、副業先で請求システムの導入を進めています。これまで、第1回では請求業務の全体像、第2回では商品マスタ、そして第3回では顧客マスタについて取り上げてきました。
今回は、その先にある「決済方法設定」について考えてみます。
1. 請求先も金額も決まった。それで請求準備は完成?
例えば、月額30,000円のクラウドサービスを販売している会社を考えてみます。
商品マスタには料金が登録され、顧客マスタには請求先が登録されています。契約内容も決まっているので、毎月30,000円の請求書を作成できます。
ここまでは問題なさそうです。
ところが、支払方法について考えると、少し事情が変わります。
銀行振込で支払ってもらう場合もあれば、口座振替を利用する場合もあります。クレジットカード決済を希望する顧客もいるかもしれません。
同じ30,000円の請求でも、支払方法によって、その後の業務は異なります。
では、新しい請求システムでは、どのように設定するのでしょうか。
2. 決済方法の設定なのに、請求書発行サービスを選ぶ?
請求システムの決済方法設定というと、銀行振込や口座振替を選択する画面を想像するかもしれません。
しかし、ある請求システムでは、それだけではありません。
外部の請求書発行サービスと連携する方法や、請求データをCSVで出力する方法などが用意されています。
例えば、すでに利用している請求書発行サービスと連携できれば、新しいシステムで計算した請求金額を使って、従来のサービスから請求書を発行できます。
一方、CSVで出力する場合は、出力したデータを別のシステムに取り込む運用も考えられます。
ここで少し整理が必要になります。
銀行振込や口座振替は、顧客が代金を支払う方法です。それに対して、外部サービスとの連携は、請求書を作成するためのデータの受け渡し方です。
どちらも請求業務に関係しますが、同じ意味ではありません。
新しいシステムが既存のサービスと連携できると分かれば、安心したくなります。しかし、もう一つ気になることがあります。
3. 請求書は自動で発行できる。でも、その後は?
請求書を自動で作成できれば、毎月の経理業務はかなり楽になりそうです。
ただし、請求書を発行したあとにも仕事はあります。
銀行振込の場合、実際に入金があったかを確認し、どの請求に対応する入金なのかを判断します。
口座振替の場合も、予定どおり引き落としができたかを確認します。残高不足などで振替できなかった場合には、その後の対応も考えなければなりません。
つまり、請求書を自動で発行できることと、入金確認まで自動で処理できることは別の話なのです。
もちろん、入金データの取り込みや自動消込に対応したサービスもあります。
ただ、請求書発行サービスと連携できるという説明だけでは、そこまで自動化できるかは判断できません。
そして、実際の設定では、もう一つ見落としやすい点があります。
4. デフォルト設定は便利。でも、例外があったら?
決済方法を複数登録できるシステムでは、標準となる方法をあらかじめ指定できる場合があります。
これがデフォルト設定です。
例えば、普段利用する請求書発行サービスへの連携方法を初期設定にしておけば、契約を登録するたびに同じ設定を選び直す手間を減らせます。
ただし、すべての契約で同じ設定を使うとは限りません。
通常は銀行振込でも、一部の顧客には口座振替を利用しているかもしれません。また、特定の契約だけ別の請求書発行サービスを使用する場合も考えられます。
初期設定は便利ですが、例外的な契約を登録するときには、設定内容を確認する運用が必要になります。
ここまで考えると、システムの設定だけでなく、各サービスの役割も整理したくなります。
5. 連携できる。それだけで業務はつながる?
請求システムを入れ替える際、既存のサービスをすべて廃止する必要はありません。
契約情報や料金計算は新しいシステムで管理し、請求書発行は従来のサービスを使うという方法もあります。
ただし、その場合は次のような役割分担になります。
| 業務 | 担当するシステムの例 |
|---|---|
| 契約情報の管理 | 新しい請求システム |
| 請求金額の計算 | 新しい請求システム |
| 請求書の発行 | 既存の請求書発行サービス |
| 入金確認・消込 | 会計システムなど |
※あくまで構成例であり、実際に利用できる機能や連携範囲は製品によって異なります。
こうして見ると、それぞれのシステムが担当する業務は分かりやすくなります。
しかし、連携するデータに不足があった場合はどうするのでしょうか。CSVを使う場合、誰が出力し、誰が取り込むのでしょうか。
また、請求書を発行したという情報が、元の請求システムにも反映されるとは限りません。
システム同士が連携できることと、業務全体が自動でつながることは同じではないのです。
導入前に確認したいのは、連携機能の有無だけでなく、何の情報を、どちらのシステムへ渡せるのかという点です。
6. 請求書を一件選ぶだけで、見えてくること
では、実際に何から確認すればよいのでしょうか。
最初からすべての契約やシステムを整理しようとすると、かなり大変です。
そこで、毎月同じ金額を請求している契約を一件選んでみます。
その契約について、請求金額が決まってから、請求書を発行し、入金を確認するまでの流れを追ってみます。
どのシステムで請求書を作成しているのか。途中でCSVやExcelを利用しているのか。入金が確認できなかった場合は、誰が対応しているのか。
普段は何となく行っている業務でも、一件ずつ確認すると、システムが処理している部分と人が確認している部分が見えてきます。
そのうえで、どこまで新しいシステムに任せたいのかを考えれば、導入時の判断もしやすくなります。
まとめ:請求書を発行できれば、それで終わりではなかった
銀行振込を設定すれば、請求業務の準備は完了する。
最初は、それほど難しい話ではないように思えます。
しかし、請求書発行サービスとの連携や、その後の入金確認まで考えると、決めておきたいことが出てきます。
今回改めて感じたのは、請求業務のシステム化では、請求書を発行するところだけを見ていても十分ではないということです。
まずは一件の契約を選び、請求書発行から入金確認までの流れを確認してみてください。
システムを入れ替える前に、意外な作業が残っていることに気づくかもしれません。
請求業務の改善をお考えの方へ
請求書の発行から入金確認まで、業務全体を整理することで、確認作業の削減や未回収管理の改善につながります。
請求管理の見直しやシステム化について、支援内容をまとめています。
参考にした公式・参考情報
- Scalebase「複数の決済方法管理に対応しました」
https://scalebase.com/news/update20211221 - Scalebase「API・システム連携」
https://scalebase.com/function/integration - Scalebase「Scalebase ペイメント」
https://scalebase.com/payment



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